98年10月24日
視察の旅も自主研修の時間があったので、ルーブル美術館へ向かったが、雨が降っていたうえに、もの凄い人がならんでいたので見るのを諦めてホテルへ帰る。
夜、メトロに乗ってバスティーユオペラへ。
6時には50人以上が当日券窓口にならんでいた。
ちょうど自分のところで、「ここから先は券はないかもしれない」と言われる。
フランス語だったので、まわりの人に英語で聞いたらそういうことらしい。
おかげで、列の前後の家族や高校生と待つ間、仲良くなってしまう。
7時を過ぎるとチケットはもうほとんど残っていないことがわかり、自分の前あたりで売り切れ状態が濃厚になる。
ホール関係者が「550フランの券が欲しい人は?」などと、ならんでいる列に声をかけはじめる。
何かの理由で来れなくなった人のチケットはどうかと、並んでいる列に向かって順番に勧めている。
列の前の数人が買い求めたが、ちょうど前の高校生のマドモワゼル2人は安いチケットしか買えないから、もうダメかな・・と嘆き始める。「650フランの券がいる人は?」とフランス語で呼びかけるので、最後のチャンスだと思い手をあげる。
白髪のご老人がチケットを持っていた。奥さんといっしょに観ようと思っていたのに、いっしょに観れなくなったそうだ。彼の持っている650フランの席を650フランで譲り受けた。「いい席だから、大いに楽しんだらいいよ」と白髪の老人に英語で言われ、「メルシー」を連発する。
ホール内で着席していると、開演直前に隣の席に来たのは私の前にならんでいた東洋系のおばさまだった。二人とも、同じ人からチケットを譲り受けたので、「あの老人から買ったの?」と、会話が盛り上がる。待ち合わせた家族が遅れてきたのでその分を買うのが大変だったそうだ。
演目は「リゴレット」。タイトルロールには暖かい拍手が送られていた。ソプラノやテナーは有名な曲があるので、見せ場があるが、リゴレット役にはかわいそうなオペラだ。
緊張感を切らさず演じた主役は見事。
ソプラノのアリアは大好きなので、美声に酔う。
コンダクターはCarlo Rizzi、リゴレットはAlexandru Agache、ジルダはLaura Claycomb、「風のように・・」の色男はRoberto Aronica。
オペラが終わると、外は雨だった。
チケットを買うために並んで待つ間に親しくなった日本のI.K.さんと、バスティーユでイタリア料理を食べてから、メトロに乗って帰った。
チケットを買うために並んだおかけで、パリでは素敵な思い出が出来た。