インテリア(1978)
アニー・ホール(1977) とマンハッタン(1979) の間をはさむ作品。
女性が中心のドラマで本人出演はなし。
ロングアイランドの海岸ぞい、モダンな白い家をかまえた富裕な一家を巡る物語。
3人の娘たちの一人(長女)に常連のダイアン・キートン。
長女は詩人、夫は売れない作家。次女も作家。三女はTV女優。
3姉妹の父親は、長年連れ添った妻に試験的な別居を申し出る。
理想を求める母と娘の葛藤。新たな生活を望む父親と母親の絶望。
シリアスなドラマ展開で、笑いはない。終幕も悲劇的。
アレンはイングマル・ベルイマンの信奉者で、「マンハッタン」でも本人の口からそのようなセリフが出てくるが、この作品にベルイマンの影響が強く見られるという。
ちなみに、自分は1960年の「処女の泉」を70年代に映画館で、1974年の「魔笛」を発表当時に観たが、ベルイマンに対する評価が高いということは知っていても、作品を多く観ている訳ではないので、「インテリア」と並べてどうのこうのというものは、何もない。
ウディ・アレンの作品の中では異色。
興行的には売れなかったらしいが、アニー・ホールで世に認められた翌年の作品であるだけに、好きなことが出来たのだろう。
翌年の「マンハッタン」では、見事にいつものアレン流に回帰している。
1978年だから出来たウディ・アレンの監督としての腕を示す作品。
冒頭の、ガラスごしに海を見つめるシーン・・・作品を意味づける象徴的な作り方。
映画監督としての手腕を感じさせるところは、「マッチポイント」にも共通する。
こういった一面も、ウディ・アレンなのだ。