6番という番号のつく交響曲は好きなものが多いのです。
ブルックナーは6番が一番好き。シベリウスも6番が一番好き。
マーラーの6番はカラヤンとセルのレコードをよく聴いていました。
ところが、マーラーの6番は20数年間、聴けない曲、聴きたくない曲の一つになっていました。「悲劇的」というタイトルがついている通り、終楽章では工事現場で使用される大きな木のハンマー(かけや)が3度、振り下ろされます。
(追記10/18 3度の版と2度の版があるとのこと)
学生時代の夏、不幸なことが2度ほど続きました。
3度目のアクシデントは、対向車を避けようとして、車の運転を誤り、路肩から5mほどの高さを滑り落ちて、田んぼで1回転半して、屋根はぺちゃんこ、横倒しとなりました。
私が運転、姉が隣に乗っていたので、横倒しの車の中で、姉に向かって「生きてる?」と声をかけました。
その時にカセットテープで聴いていたのがカラヤンのマーラー交響曲第6番「悲劇的」でした。なんと、横倒しになった車の中で聴こえてきたのが、3度目のハンマーが鳴るところの音です。
まさに3度目の不幸でした。
幸い、刈り取り前の稲のクッションが効いたのか、二人とも何の怪我もなく、生きていてよかった・・・と思いました。車は大破したので、即刻廃車です。
それから、マーラーの第6番は、不吉な曲として、20数年間聴けなくなりました。
数年前のPMFの演奏の時に久々に聴いてからは、徐々に聴けるようになってきました。
あまり自分から進んで聴こうとは思わない曲ですが・・・。
今日は、サントリーホールで札幌交響楽団、尾高忠明さん指揮で、マーラーの交響曲第6番を満喫してきました。本当に素晴らしい演奏でした。
やっと、この曲は私の中で「解禁」になったような気がします。
今日の素晴らしい演奏で、過去の事は「思い出」になりました。
ハンマーの音の恐怖から、やっと解放されました。
でっかい「かけや」を振り下ろすところを、しっかりと見ることができました。
それにしても、凄い曲です。