隣接するオペラシティは新宿区、新国立劇場は渋谷区。
ちょうどオペラシティの屋根付の階段状スペース「ガレリア」が新宿区と渋谷区の境界になっている。
昭和47年(1972)、文化庁に「第二国立劇場設立準備協議会」が設置されてから、平成4年(1992)に建設工事着工、 平成9年(1997) 10月オープン。
オープンするまで、20年待たされた。
この場所は、元・東京工業試験場跡地。そもそも第二国劇(仮称)をどこに作るか、システムをどうするか・・・というのは、ずいぶんと論議された。
その結果が、今の場所と建物と運営組織となった。
昭和55年に現地点に建設が決まってから、昭和61年に隣接する場所を共に整備するという東京オペラシティプロジェクトが組まれ、オペラシティと新国が相次いでオープン。
新国の隣にオペラシティがあることは、お互いに幸運。2つの相乗効果は大きい。
ここは、まずオペラを観る場所だ。
それとともに、文化を創る場所だ。
新国立劇場には、「オペラ研修所」と「バレエ研修所」がある。現代舞台芸術における芸術家等の人材育成の拠点である。
オペラ劇場は、左右合わせて4つの舞台をもつプロセニアム形式でオペラ専用ホール。劇場内は客席の壁、天井とも全て厚い木材で仕上げられ、歌手の肉声が理想的に響くように設計されている。常設のオーケストラピットと3層のバルコニーが舞台を抱え込むように三方にめぐる馬蹄型劇場となっている。
1,814席
チケット代は、この贅沢な客席数で決まるといってもよい。
NHKホールは大きすぎる。
1,038席の中劇場でも小規模ながらオペラ公演が多く、340席~440席の小劇場は演劇中心。
貸し劇場としてもたまに使われるが、主催公演がこの劇場の命。
オープン当時から比べると、ここで聴くオペラは、かなり水準が高くなってきた。
最近は外来のオペラ劇場公演にあまり目移りしなくなったのも、ここで聴くオペラが相当満足できるものになったからだと思う。
専属のオーケストラを持たない国立歌劇場などと、他の国と比較して批判するのはたやすいが、ここでしっかりとオペラという文化が醸成されているのは事実である。
私は、新国の大ファン。
新国があるということは、実に幸せなことだ。
家まで自転車に乗って帰る道は下り一方で、オペラを観た後の風は気分爽快。
Data:
場所:東京都渋谷区本町1丁目1番1号
運営:財団法人 新国立劇場運営財団
オペラ劇場 1,814席
新国立劇場のページ。