愛と死
Love and Death(1975)
スリーパー(73)、アニー・ホール(77)の間に撮られた75年の作品。
この作品のダイアン・キートンも魅力的。
ロシアが舞台。
トルストイとドストエフスキーへのオマージュ。
下級貴族の三男に生まれたウディ演じるボリス。
初恋の人ソーニャはダイアン・キートン。
平和主義者で出兵を避けようとしていたが運命には逆らえず戦場へ。
戦闘訓練や戦場のシーンは、多数のエキストラの中でアレンの奇妙な動きが目立つ。
お金をかけたバカバカしさに、笑える。
ナポレオン暗殺を企て、それを遂行するためのドタバタ劇もコメディ仕立て。
最後に、死神を伴って表れるボリスが「死」というもう一つのテーマを提示するが、
アレン自身も語っているように、全編がコメディ化されてうまく伝わらなかったという。
処刑当日、屋外で銃殺隊の前に引き出されるというのはドストエフスキーの生涯の出来事と同じ。
ドストエフスキーはそこで減刑になり銃殺されずに済むのだが、アレン演じるボリスは、
死なないはずだと言いつつ実際は銃殺されてしまい、
死神と一緒にソーニャの前に表れ、踊りながら去る。
大規模なロケなど、どんなくだらないことでも、
映画として金をかけることが出来た古き良き時代の作品と言えるかもしれない。