コルンゴルトの「死の都」
2001年、ライン国立歌劇場
ケーニック&ストラスブール・フィル
DVD
石田衣良「池袋ウエストゲートパーク」シリーズで語られる音楽作品は、クラシック通を唸らせるものが多々ある。
バッハやモーツァルトからジョン・ケージの作品まで、主人公マジママコトの聴く音楽は幅広く、作品の分析もなかなかのもの。
もっとも、
音楽に詳しいのは、
果物屋の店番をしながら、池袋のトラブルを辛抱強さと独自のネットワークで解決していく主人公の真島誠というより、作家・石田衣良さん本人であることに違いないのだが・・・
七作目「Gボーイズ冬戦争」で、初めて自分が聴いたことのない作品が登場した。
文春文庫版 213-214p
あんたがワーグナー(トリスタン!)やリヒャルト・シュトラウス(ばらの騎士!)を好きなら、一度きいてみるといい。ある文化が爛熟するというのはどういうことか、そいつがよくわかる音楽になっている。
ということで、気になった「死の都」を早速注文。
DVDで鑑賞。
16~18歳のときに書いたオペラがプッチーニに絶賛され、1920年の「死の都」で大成功を収め、23歳にしてオペラ作曲家としての世界的地位を確立。
ユダヤ系だったため、アメリカに亡命し、映画音楽を書くことになった。
そちらの世界では、いちおう成功したものの、純音楽から遠ざかってしまう。
世の中が違っていれば、もっとたくさんのオペラを残していたはずだ。
ハリウッドには、もったいない作曲家だったかもしれない。
没後、コルンゴルト・ルネッサンスとして再評価される。
豪華絢爛な管弦楽、存分に歌わせる旋律など、「死の都」は聴き所が満載。
1920年という時代ならではの作品。
ドイツ語オペラの傑作の一つにあげられるはずだが、復権には時間がかかった。
R・シュトラウスの「無口な女」も台本のツヴァイクがユダヤ系で、暫く舞台に乗らなかった。
コルンゴルトの他の作品も、聴いてみたい。
オペラは、まさに爛熟なのである。