「愛の流刑地」
映画の方は、公開時に劇場で観ている。なにしろ、寺島しのぶファンなのだから・・
暮れに小説を読み直し、DVDで観ると、
原作に忠実なところと、多少設定を変えているところがあり、
そういう観かたをすると、いろいろと楽しめた。
朝から、こういう連載小説もどうか・・
って気もするが、
「この手の小説、朝刊の小難しい記事の合間に読むのもいい」
という意見を言う方もいる。
映画の方は、小説には登場しない母親役が、富司純子。
親子共演というのも、見所。
同じフレームに入ると、やはり本当の親子だねぇ・・・と感じてしまう。
●寺島しのぶ、
いい役者だなぁ・・・と思うが、家系がまた凄い。
お父さんが七代目尾上菊五郎、お母さんが富司純子。弟が尾上菊之助。
お父さんの業績は凄いものだが、菊之助も活躍している。
「娘道成寺」などは、ため息が出るくらいにいい!
そんな家系で、フランス人と結婚(2007年3月)というニュースは驚きだったが、
彼女の並外れた演技の幅からすれば、それもわかる気がする。
近松やシェークスピアなどの舞台にも多く出ているが、映画での存在感も見事だ。
「やわらかい生活」などの主演映画は、個性的。
「
赤目四十八瀧心中未遂」(2003年) では、
不思議な映画の感覚に溶け込んでいる。
大楠道代、内田裕也もかなり強烈。
どろっとした感じが、なかなかいい。
「
ゲロッパ!」(2003) 監督: 井筒和幸
では、タクシードライバーのちょい役ながら
笑いのツボにうまいことはめてくれて、いい味出してる・・
大笑いさせてもらい、寺島しのぶ、見直す。
「
ヴァイブレータ」(2003) 監督: 廣木隆一
は、31歳女性ルポライターの行きずりの恋の物語。
問題を抱えた女性像は、劇場で観た「やわらかい生活」にも通じる。
独特の間やテンポ感は次の作品にも共通。
頭の中のセリフが無声映画の字幕のように登場。
トラック運転手役の大森南朋(オオモリナオ)も、寺島ワールドの小道具みたいに思える。
この方、久石譲の「カルテット」ではヴィオラ弾きだった。
「
やわらかい生活」(2006)
ヴァイブレータの過激さとは違う。
のほほ~んとした蒲田の風景が、しっかりと映画の舞台に。
35歳のとある女性の生活を、あれこれと抱える問題も含めて、
等身大で描いているところに好感がもてる。
トヨエツ、妻夫木君など周りの役者もそれぞれいい味を出している。
「
Tokyo Tower」 (2005年)
は、黒木瞳&岡田准一に負けず、
ギリギリの主婦感覚を演じ、松潤とのからみが絶妙。
黒木&岡田の虚構感に対して、寺島&松潤は生々しく現実的。
朝ドラ「
純情きらり」(2006年)では、
桜子(宮崎あおい)の姉役の笛子を演じていて、
信念を曲げず、女学校の教師を辞する最後の授業の凛々しい姿には、惚れ惚れした。
あのシーンは感動的で、忘れられない。
いい仕事をしているなぁ・・と感じる女優なのだ。