「永遠のマリア・カラス」。
2002年の映画。
監督が、フランコ・ゼフィレッリとくれば、絵の作りも当然リッチ。
オペラの舞台を多く手がける監督の映画は、これまた絵画的で、舞台ではできない贅沢な絵を撮る。
声が出なくなったカラスが、プロデューサーの強力な誘いにより、若い頃の歌に口パク演技を加えて「カルメン」を撮影するというストーリー。
このカルメンの創りが見事。
企画そのものを全編映画にしてほしいという気がする。
カラス役のファニー・アルダンも魅力的。映画を格調高くしている。
心の葛藤の描き方も見事だ。
プロモーター役のジェレミー・アイアンズ。好きな俳優だ。
キリ・テ・カナワと演じている「マイ フェアレディ」のヒギンズ教授がとってもいい。
今回の映画でも、かっこいい相手役を演じている。
カラス自身をよく知るゼフィレッリ監督が、彼女の人生そのものではなく、晩年のカラスであれば、こんな風に行動したであろう・・という脚色の仕方が見事だ。
カラスを取り巻く出演者は、彼女に友情を感じている人々。
監督自身も、その友人の一人であるという証明のような映画だ。