オッコ・カムのシベリウス
札幌交響楽団 10月31日を聴きに行く。
今年の定期の中でも、一番の注目だった。
あのオッコ・カムが札響を振る・・・。
札響がどんなシベリウスを奏でるのか、
相当な期待を持って行った。
オッコ・カムといえば、やはりベルリンフィルとのシベリウス
「カム/ベルリン・フィルのシベリウス交響曲二番のレコード(DeutscheGrammophon:MGW5233)をそれこそ擦り切れるくらい聴いたものだ。」
札響チェロ奏者ARAKIさんHPより
http://arakipage.jp/sakkyou/regular/regular.htm
私もARAKIさん同様に、カムのシベリウスは相当聴いた。
考えてみると、1970年のデビュー当時の録音。
レコードを聴いていたのも、30年も前になる。
オッコ・カムは、
1946年、ヘルシンキ生まれ
1969年カラヤン国際指揮者コンクールで優勝
当日の演奏は、
ポホヨラの娘、交響曲第7番(休憩)交響曲第4番
第7番もよかったが、4番の素晴らしさを改めて認識。
7つの交響曲のうち最も暗くて、渋いのが4番。
札響のシベリウス4番を以前にもキタラで聴いたことがあるが、曲を知り尽くしたオッコ・カムが振るシベリウスは、やはり違う。
今回は、P席の一番上で、聴いていた。
思索的な曲であるし、もちろん派手な演奏ではない。
様々なフレーズが湧き出ては消える・・・静けさの中にも深い響きがある。
終楽章の最後の数分は、魂を揺さぶられるような響きに涙がたまった。
最後は、目が開けられなかった。
終わってからの数秒。完全な無音の中で、演奏を噛み締めた。
拍手までの間も、今回は充分に用意された。
シベリウスは、自らこの作品を「精神的交響曲」と呼んでいるそうだ。
なるほど、うなづける。
オッコ・カムが振るならもっと派手な方がいいのではないかとも思いながら、「なぜ4番か」という意味がわかった。
4番の素晴らしさを表現できるのは、まさにオッコ・カムならでは。
もちろん、札響の演奏も素晴らしかった。
他のオケではなく、札響で聴くことができたのも幸せ。
この演奏会は、長く記憶に残ることだろう。
アンコールなんていらないと思っていたが、「悲しきワルツ」が演奏された。
4番の雰囲気を決して壊すことがなかった。さすがにオッコ・カム。
残念ながら多少の空席があったのは、惜しい。
こんなに素晴らしいプログラムは、滅多にないのに・・・。
「来なかった人は惜しいことをした」
最近、音楽評論家の谷口静司さんは、北海道新聞でそういう表現を使いますね。