宮崎隆男さん著の「マエストロ、時間です」―サントリーホールステージマネージャー物語を読むと、いろんな事が書いてあるのだろうけれど、実はまだ読んでいない。
その著書の紹介には、このようにある
ステージマネージャーは、音楽家が最高の状態で演奏できるようにステージに送り出す役割を負っている。その「最高の状態」というのがくせ者で、緊張する音楽家をステージドアから舞台に送り出す役目だけではなく、楽器の搬入や楽屋の割り振り、椅子や譜面台のセッティングなど、仕事の幅はとてつもなく広い。コンサートを仕切るためになくてはならない役割ではあるが、舞台裏に隠れ、決して目立つことのないのがステージマネージャーなのだ。
宮崎氏のように、小澤征爾氏などから全幅の信頼を得て、カラヤンを送り出した・・・なんていうのはかっこいいが、本来のステマネは地味な仕事である。
私のいくつかのステマネ経験から。
高校の吹奏楽部のコンサートでは、舞台袖で指揮の先生を送り出し、拍手の鳴っているうちに再度ステージへ向かわせ、うまくアンコールに持ち込む・・・などという気遣いも必要となる。タイミングがずれると拍手が鳴り止んでしまう。聴衆もうまくコントロールしなくてはならない。
エレキバンドのコンサートの際、アンプが過熱して火を吹く。急遽、ホール近くの旅館から扇風機を調達して、冷やしながら続演。まさに冷や汗もの。
私はつかなかったが、ステージサーカスの袖はもの凄いらしい。女性が次々に着替え始めるので、目のやり場がないとのこと。
ステージ袖というのは、実は演奏者と聴衆の両方の反応を見ることが出来て、最高の鑑賞ポジションでもある。裏方の仕事ではあるが、「進行をコントロールしている」という実感が湧くやりがいのある仕事。結構楽しいのだ。