北海道立近代美術館
常設展 これくしょん・ぎゅらりい
エコール・ド・パリ 異邦人の夢
Ecole de Paris: Dreams of Foreign Artists
シャガールの絵は、レコードジャケットなどでよく見ていたが、
「ダフニスとクロエ」全12展 のリトグラフは見応えがあった。
それぞれ緑、赤、黄、青を基調としたトーンで、ファンタジック。
物語の解説もあった。絵を見ながらラヴェルの曲を思い出していた。
マリー・ローランサンの上品な絵も三点。
さて、お目当ての同時開催
フレッシュ・アイズ 北海道美術再見
A Fresh Perspective : Reviewing Hokkaido Art
北海道教育大学岩見沢校芸術課程との連携展。
同校芸術課程の3年生22人が自由な発想で同館所蔵作品から一点ずつ選び、
その作品を選んだ思いや、作品の鑑賞を深める展示を用意した。
「見て、触れて、考える」という手法は主として子ども対象と思っていたが、
まさに大人のハンズオン!!
もの凄く面白かった。
この展覧会は、北海道教育大学岩見沢校と北海道立近代美術館との連携によって企画。
学生が公共の美術館で展覧会を企画するという貴重な実践。
一点一点の作品と向き合い、構図、作家の歴史、風景、街の歴史などに触れ、
その作品と対峙することによって何かを感じることができる。
多くの展示は、ある作家の作品をまとめて見ることによって、
その作家の作風などを知ることができるというもの。
この展示は、まず一点の作品そのものを受け入れる。
横にあるのは、作品の解説ではなく、学生がこの作品を薦める言葉なのだ。
ファースト・インプレッションが大事にされる。
続いて、時代背景や、作風の変遷、詩、構図の面白さを確認する展示があり、
そこで作品の鑑賞を深めることができる。
どれも面白かったが、既知の作品にも新たなアプローチができた。
30年前に初めてこの美術館の
「神田日勝展」で
『室内風景』を見た。
この絵の展示では、美術コース三年の石井さんが、
新聞紙を貼りつめた裸電球一個の狭い空間を再現。
そこに入ってみることで、絵に描かれた世界を体験できる。
これと似たような体験を思い出した。
ジョン・レノンミュージアムのオノヨーコの展示の再現。
階段を昇っていき、天井に書いた YES の文字を虫眼鏡で見る。
ジョンがヨーコに浸透するきっかけになった作品だが、
この作品をジョン・レノンミュージアムで体験したとき、
ヨーコを好きになるジョンの気持ちがわかったような気がした。
こういうことを考える人は凄い。
YESをめぐる有名なエピソードは、体験してみて初めて実感できる。
フレッシュ・アイズは、
22人の作家と対峙する22人の学生のアプローチ。
これは、絶対にお勧め。ぜひ、体験を!!!
1月25日まで開催。